健康アドバイスということでお話をしてまいりましたが、「包括的すぎてわかりづらい」とのお声もいただいております。具体的な健康法に関しましては、情報があふれている現代ですから、書籍、ネット、講演会などでいくらでも知ることができます。
そのなかでどれを選択するか、またそれらを実践するか否かは、各自の自己責任において行われるべきであり、またそうすることが健康につながっていくのだと考えます。
私の寄稿は今回が最終回となります。結論だけを述べると、つまりは「『おいしい素材を楽しく食べること』こそが健康の根本である」ということになるわけですが、そこでみなさんに強く意識していただきたいのは、健康というものは、食や環境だけでなく、実は政治や経済といったレベルにまで深くつながっているものであるということです。
それぞれとの関連付けをこの紙面だけで行うことはできませんので割愛しますが、例えば、私たちが健康に暮らすことと、第三世界の飢餓問題は決して無関係ではない、ということを心に留めてお読みいただければと思います。
これまで数回にわたりまして、国産の野菜はおいしい、農薬を使っていなければなおおいしい、肥料を使わない自然栽培だとなおさらおいしいということを述べてきました。そして、ごくシンプルな粗食でよいから、食材そのものを生かした伝統的な調理法が、なによりおいしさを引き出してくれます。われわれ日本人にとっては、「和食」ということになりましょう。
「人は何がおいしいと感じるか?」ということでよく例に出るのは、肉と中華料理です。ラーメンなども含めた中華料理には、一般的にアミノ酸が多く使われます。「おいしい=アミノ酸(グルタミン酸ナトリウムなど)」と感じている方も多いのです。
このような食品添加物を使用していない食材を食べてみると、最初のうちは何か物足りなく感じますが、ほんの1か月でも肉や食品添加物(できれば砂糖も)を摂らない生活をしていれば、必ずといってよいほど味覚が変わってきます。そして食品添加物や農薬など化学物質が多く入った野菜や食事をおいしくなく感じるようになったり、肉が体に相当の負担をかけていることに気づくようになります。
体に負担がかかるものを食べて「おいしくない」と感じることは、人間がヒトという動物であることを考えれば当然のことです。
しかし、多くの人はそのような本能的味覚がマヒしています。高級料理店での食事もたまにはよいでしょう。確かに目には「おいしい」ですよね。しかし、体や心にまでおいしい喜びをもたらすものというと、結局は家庭で食べる日常的な「和食」に行きつくのです。そうした食事を「おいしい」と感じる本来の感覚を呼び戻すことが、実は健康だけにとどまらず、あらゆる社会問題の解決につながるのだということを強調したいと思います。
最近とても懸念されていることに「心の病」があります。人はみな、家庭や仕事、対人関係、病気など少なからず問題を抱えているものですが、それらが過剰な負担となったとき、心を病んでしまいます。しかし、ここでもまず大切なことは自然回帰することです。
つまり、化学物質の入っていない当たり前の食事をしていくことです。食があたりまえになってくれば、心も変わってきます。そして、「なぜ私の人生はこんなに苦しまなければならないのか?」と嘆くことをやめ、人生そのものがその答えを探す旅であることが認識できるようになるはずです。
人間は口から入る物のみからその体ができているのです。食が汚染されていない、食が生命力に溢れているという条件が満たされていれば、人間本来の高い生命力は保持していくことができます。人間の体は常に正しく働いていますから、病も含め、起こる事象にはすべて明確な因果関係があるのです。
整った食とジャンクフードとでは、食べ続けているうちに体の反応が違ってきますし、化学物質の有無によっても体が変わってくることは容易に想像できるでしょう。もちろん、心もそれに伴っていくと考えられます。
宇宙から撮られた地球の写真を見るとき、人間は地球のほんの一部にしかすぎないということがわかります。私達一人ひとりの人間は、自然のごく一部にすぎないということを認識して下さい。家庭にいてもオフィスにいても、どこにいても自然の一部であることには変わりありません。
そして、自然の一部にしかすぎない人間が、健康になるためどう生きていくかを考え、実践していくことが、地球全体、宇宙全体の健康にもつながるはずです。つまり逆を言えば、この地球が永続可能な環境を考え、実践していくことが、遠回りのようでありながら、結局は最も根本的に健康になれる近道と言えるのではないでしょうか。(人間が絶滅しても自然(地球、宇宙)は残るので、地球というより人間社会が永続可能な環境といった方が的確かもしれませんが)
「おいしいはしあわせ」を楽しむことは、未来の子供達に素敵な環境を伝えることにつながります。(終)
文責:松浦智紀 |