サン・スマイル=無肥料自然栽培

なぜ無肥料?有機肥料のやりすぎはいけない?

  • 動物性肥料の問題

     牛糞や鶏糞など、主として動物の糞尿等由来の肥料を動物性肥料といいます。有機肥料でもっとも多く使われているのがこの動物性肥料です。なかでもとくに多いのは牛糞ですが、牛のエサは輸入トウモロコシなどいわゆる濃厚飼料が中心で、それらのほとんどはポストハーベスト(収穫後の作物に直接散布される)農薬に汚染されたり、遺伝子を組換えられた穀物です。さらには肥育段階で抗生物質やホルモン剤といった薬剤も多用されています。こうして育った牛の糞を肥料として使う農産物が、はたして安全といえるのでしょうか(現状、有機 JAS法では黙認)。また、このような肥料を投入し続けて、大地を清浄に保てるのでしょうか。

  • 窒素過多の問題

     肥料をやりすぎると、植物の中で窒素分が未消化の状態になってしまいます。窒素(窒素・ N)は、植物の体を作る上で重要なアミノ酸の原料です。アミノ酸はタンパク質の原料になりますが、窒素の吸収量が多すぎると光合成が間に合わず、硝酸となって植物体内に残ります。これらは亜硝酸ナトリウム(発色剤として使われる食品添加物と同じ物質)に変化した後、人体内(口中)で二級アミンと反応してニトロソアミンという超発がん性物質を産生するおそれがあります(この事実は 1960年代には判明していたのに、広く知らされてはきませんでした)。

     硝酸が多量に残留している野菜や水は、ブルーベビー症候群(米国では 1950年代にほうれん草の裏ごしを食べた複数の乳児が酸欠のため真っ青になり死亡した)や糖尿病の原因とも言われています。実際に濃厚飼料を主食とする放牧地の牛を観察してみても、自分たちが糞尿をした後に生育した窒素過多の青草は食べないことがわかります。

     無肥料自然栽培の作物をわざわざ求めて来られる方のなかに、化学物質アレルギー(化学物質過敏症等)があり、たとえ農薬や化学肥料を使用していない作物であっても食べられないという人がいます。それが特定の物質に対するアレルギー反応であるのかどうかはわかりませんが、無肥料自然栽培の農産物なら食べられることを考えれば、窒素過多で育った作物に残留した硝酸が問題である可能性も否めないでしょう。

     
  • 地下水汚染ほかの問題


    無肥料自然栽培家 関野農園

     肥料のやりすぎはまた、窒素(硝酸態窒素)による地下水汚染にもつながっています。これも実は業界新聞では 15年以上前からトップ記事として取り上げられてきた大きな問題です。
     含有窒素量が基準値を超えてしまったために、地下水を飲用利用できなくなってしまった地域が国内には数多くあります。いったんこうなってしまうと改善には非常に長い年月が必要となり、社会問題としてクローズアップされたときにはすでに取り返しのつかない状況になっていることが多いのです。
     また硝酸による水質汚染やブルーベビー症候群に並ぶ問題として、世界のあちこちで塩類集積による土地の疲弊と荒野化が起こっています。もちろん私たちの住む日本もまた同じ道を歩んでいるのです!

  • 輸入頼みの有機農業

     油粕など植物性の肥料はその多くを海外からの輸入に頼っているのが現状です。肥料の輸入・輸送に膨大なエネルギーを費やし、二酸化炭素( CO2)を大量に排出しなければできないような農業は、とても永続可能であるとは言えません。動物性肥料は国内で生産できるといっても、元を正せば飼料はもっぱら輸入に頼っているわけですから同じことです。だからといって国じゅうの生産者が堆肥を自家生産しようとした場合、野草や落ち葉だけではとても十分な量があるとはいえないでしょう。
    このように考えると、有機肥料を多量に施用する農業は、環境や人に思いのほか負担がかかり、永続は難しいのではないでしょうか。

  • 肥料を減らせば病虫害も減る


    無肥料自然栽培家木村秋則氏

     日本でもすでにこうした問題に気づき、有機物等の投入を極力抑えた農業を始めている農家も増えています。その結果、病気や虫の害が減って栽培しやすくなったという声をよく耳にします。肥料を減らすと病害虫が減る(逆に言うと、たくさん入れると病虫害が増える)というのは、意外に思われるかもしれません。

    しかし、病虫害が少ないということは土壌や作物自体の生命力が強い証拠であり、より自然本来の姿に近づいているということでしょう(詳しくは後述)。逆をいえば、病害虫は弱った作物に集まるということです(人間とまったく同じではないでしょうか)。 このように、肥料を使わない栽培に多くの利点があり、農業として十分に成立するということになれば、一般栽培や有機栽培が無肥料自然栽培に切り替わっていくのは自然の流れともいえるでしょう。

  • 日本は世界トップの農薬使用国!

    ここで日本国内の一般栽培の現状について少しお話しますと、実は世界で最も農薬を使っている国は、驚いたことにこの日本なのです(重量ベース 1.6kg/10a)。近年、マスコミはあたかも中国産野菜が危険であるかのようにと書きたてていますが、中国には農薬を使用しない畑が日本の 280倍もあります。
    ではなぜ日本の農家はこんなに農薬を使うのでしょうか?もちろん、流通者、消費者のニーズに応えるためにそうしているのです。農家にしてみれば、経費がかかる上に栽培する自分たちの体も被害を受けるとわかっている農薬なのですから、できるだけ使わずに済ませたい気持ちはあると思います。
     また農薬だけではなく、化学肥料の使用も作物の生命力を急速に弱めてしまうことがわかっています。加えて日本の化学肥料自給率は、製造に費やすエネルギーの輸入まで考慮して計算するとほとんどゼロに近いという問題もあるのです。